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石川県関係国会議員、谷本知事と県政懇談会 三位一体改革、補助金削減で“対立” 森氏「哲学ない」と知事会批判 知事「首相の要請」盾に譲らず
北國新聞朝刊 2004/11/11付
県が10日、東京・紀尾井町の赤坂プリンスホテルで開いた県政懇談会では、国・地方財政の三位一体改革で全国知事会など地方六団体がまとめた補助金削減案をめぐり、国会議員側が谷本正憲知事に次々と異論を投げ掛けた。これに対し、谷本知事は「小泉純一郎首相の要請」を盾に譲らず、国会議員を巻き込む各省庁と地方が激しく対立する構図が映し出された。
「金が減らされたから言っているわけではない。金は減らしていかなければならないが、問題は(義務教育の)制度の根幹に触れたことだ」。森喜朗前首相は諭すような口調で、地方六団体の補助金削減案に義務教育費国庫負担金が盛り込まれたことに異議を唱えた。
森氏は義務教育が憲法の精神に基づく制度とし、「知事会が数字合わせで決める問題ではない。知事会には哲学がない」と批判。「各省がまとまらず、じゃあ全部県に任せようとなった。各省の大臣が悪いし、それを統括している内閣総理大臣も悪い。まさに丸投げだ」と小泉首相への不満を口にした。
さらに鳥居泰彦中央教育審議会長が義務教育費削減に反対を表明したことに触れ「教育長は知事に選ばれているから遠慮して何も言わない。場合によっては知事とけんかしてもいい」と山岸勇教育長にも注文を付けた。
馳浩代議士は「教員の給与は国が責任を持つべきだと思う」と義務教育費削減に疑問を投げ掛け、沓掛哲男参院議員は「省庁も地方も、お互い半歩ずつ下がりながら進めなければならない」と地方側の譲歩を求めた。
これに対し、谷本知事は義務教育費について、自民党内などで補助率引き下げの代替案が浮上していることに「引き下げに終わるならわれわれの思いと合致しない」と不満を表明。「小泉総理が個人的な立場でなく、政府として正式に要請された」と経緯を説明しながら、地方案に沿った形での決着に期待をにじませた。
森氏は補助金削減案づくりが旧自治(総務)省主導で進んだと指摘し、「谷本さん、石川県民と総務省とどっちが大事か」と問い掛ける場面も。知事は「そりゃ石川県民ですよ」と即答したが、森氏から「経緯(の説明)はいいから感想を」と発言を遮られ、義務教育費削減への見解を求められると、感情を押し殺すように「まあ…やめときましょう」。「県の重点事業に対して国会議員に協力を求める」(谷本知事)はずの場で、静かに火花を散らした。
●民主2氏も注文
自民党国会議員に続く奥田建、一川保夫両民主党代議士との懇談会でも、三位一体改革について「霞が関を向いて仕事をしてもらっては困る」(一川氏)、「県内の町村長にも賛否を聞くべきだ」(奥田氏)との発言があった。
●県庁跡地、緑地整備を検証へ セントラルパーク意識
谷本知事は県庁跡地利用について、旧東庁舎と旧教育庁舎部分に来年度、緑地が整備されるとし、「県民に見てもらい、どういう状況がいいのか検証してもらうことも大事だ」と述べた。県庁跡地でのセントラルパーク整備を求める声が強まっていることも意識し、県都中心部での緑地空間整備の在り方を検討する考えとみられる。
県庁跡地利用をめぐっては、文化・情報フォーラムが十一日、「いしかわ文化・情報の総合センター(仮称)」の基本構想骨子案をまとめ、旧本庁舎の前面部分を保存する一方、新たな施設建設を中長期的な課題として事実上先送りする方針を示すとみられる。
谷本知事も県政懇談会の席上、旧本庁舎の前面部分を保存するのが適当とし、「短兵急にパタパタとやってしまうのは難しい」と中長期的な視点で跡地利用に取り組む考えを示した。
これに対し、岡田直樹参院議員は「県庁移転が決まってから十年も経って、基本構想のそのまた骨子というのではあまりにも遅い」と早急な方針決定を要望。森氏は「人任せにして意見をまとめるのではなく、県としてどうするんだ、知事としてどうするんだと示す姿勢がまず必要だと思う」と注文を付けた。
馳氏は金大工学部跡地利用について「文化的施設や宅地など常識的な線で収まるようにしてほしい」と要望し、谷本知事は金沢市や金大と事務レベルの協議を続けるとした。
●合併支援策充実を 奥田、一川氏
奥田、一川両代議士との懇談会で、一川氏は来年二月に誕生する白山市の合併について「山あいの自治体の合併で過疎が進むのではないか」と懸念を示し、県の支援策の充実を求めた。
奥田氏はクマ被害に関連し、県の狩猟禁止措置について「県外のハンターに周知するための準備期間が必要ではないか」と指摘した。一川氏も「山間部の森林を整備し、民有林の管理をすることが(クマ対策にも)緊急の課題だ」と述べた。
●児童、福祉施設の災害防止策求める 沓掛氏
沓掛氏は浸水予想区域など災害が予測される地域の児童、福祉施設について、ハザードマップ(災害予測図)の策定などソフト事業での災害防止策を急ぐよう求めた。ベンチャー企業の育成にも力を注ぐよう要請した。
谷本知事は犀川右岸を挙げ、「堤防が決壊すれば被害は大きいが、拡幅には費用がかかる」と述べ、ソフト面での対策にも力を入れるとした。
●ETC専用「小松空港インター」新設を 森氏が提案 上海便連携の福井県に配慮
森氏は上海便誘致で連携した福井県の要望に配慮すべきとの考えを示し、北陸自動車道の小松空港近くでETC(自動料金収受システム)専用のインターチェンジの新設を提案した。
福井県側に小松空港の名称変更を求める声があることについては「小松空港の名を取られては困る。かつては『金沢空港』と言われていた。でも騒音だけ小松にまき散らして何が金沢だという強い声があり、最近は『小松空港』で定着している」と指摘した。
懇談後の雑談では、谷本知事が「北陸空港」、森氏が「北陸小松空港」との案を出し合いながら名称変更の話題を続けたが、谷本知事は「小松市民の意見を尊重しなければならない」と最後まで慎重な姿勢を崩さなかった。
●義務教育、小学校までに 森氏が言及「中学外せばいい」
森氏は県政懇談会の席上、義務教育から中学校を外し、小学校までとすることが望ましいとの認識を示した。逆に現行で六歳の開始年齢を三、四歳に引き下げるなど、義務教育の抜本的な見直しに言及した。
森氏は中高一貫の取り組みをさらに進める必要があるとする一方、中学が義務教育、高校が自主進学と異なることを挙げ「中学校も義務教育から外したらいいと思っている」と見直しの必要性を指摘した。中学、高校での不登校問題にも触れながら「十五歳といえば感受性も強い。奉仕や体験的なことで、それぞれの個性に応じて伸ばしていく必要がある」と語った。
さらに、幼稚園と保育所を一元化した総合施設の在り方について検討が進んでいるとし、「幼稚園か保育所かや、公立、私立を親が決めて、それに対する費用を持てばいい」と述べ、義務教育の開始年齢を引き下げるべきだとした。
森氏は、全国知事会などが義務教育の在り方について議論せずに、補助金削減案に中学校分の義務教育費国庫負担金を盛り込んだと批判を繰り返した。ただし、義務教育の見直しについては補助金削減をめぐる議論に絡めず、中長期的な課題とする考えをにじませた。
●少子化対策で支援提言 2、3世帯住宅への改築
森氏は少子化対策について県独自に二世帯や三世帯住宅に改築する際の支援策を検討するよう求めた。県内は全国的にも住宅面積が広く、畳の保有枚数が多いことなどを指摘し、「同居してもいいが、干渉されるのは嫌だというのが今の若い人の価値観だ」との見解を示した。
岡田氏は「少子化対策の意気込みが重点施策に現れるようにしてほしい」と要望。谷本知事は年明けにまとめる新エンゼルプランで企業を巻き込んだ対策を重視する考えを強調した。
●分権推進連盟の設置「相談してから」
三位一体改革で、地方六団体代表者会議が知事や県議らに国会議員を加えた「地方分権推進連盟」を都道府県ごとに設置すると決めたことについて、吉田歳嗣県議会議長は「参加していいのか国会議員に相談してから態度を決めたい」と述べた。森氏は「どんな形の会になるのかみんなで相談して決めたい」と答えた。
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