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横田夫妻の覚悟を踏みにじった古館の知ったかぶり
週刊文春 2005/6/23発行
「報道番組のキャスターを名乗る以上、もう少し言論に責任を持ってほしい。私に真意を尋ねる取材もなければ、間い合わせも一切なかった。せめて、関係者に裏づけくらい取るべきです」
怒りが収まらないのは自民党の岡田直樹参院議員だ。
怒りの矛先は、『報道ステーション』(テレビ朝日)での古舘伊知郎の発言。
六月十日、家族会代表の横田滋・早紀江夫妻が参議院の「北朝鮮による拉致間題等に関する特別委員会」に参考人として出席したのだが、その夜の番組で古舘はこうまくしたてたのだ。「無神経としか言いようがないんですが、(中略)今日、ある議員がですね。横田夫妻に対して経済制裁というものをすれば、あのニセの遺骨が、今度は本物の遺骨になりかねない、というちょっと信じ難い発言をしているんですね」
この日、横田夫妻は国会で経済制裁の必要性を縷々訴えたのだが、岡田議員はこう質問していた。「(経済制裁によって)万が一、不測の事態が生じはしないかということが我々も心配でならないわけであります。前のがニセの遺骨であったならば今度は本物を出そうと、こういうことを考えかねない国だと思うんです。そうした恐れを抱きながらもなおいま、経済制裁をお求めになるのか」
これに対して滋さんは「そういった懸念はゼロではない」とした上で、そもそもめぐみさんの実名と写真を公表して拉致間題を世間に訴え始めた時点で「リスクはもうゼロではなかった」と振り返っている。
長年、拉致聞題を取材してきた全国紙記者が言う。「岡田氏の質間に〃無神経〃という印象はまったくありませんでした。むしろ、横田夫妻の覚悟の程が国会の場で言明された意義のほうが大きかった。ニセ遺骨の一件から半年も経つのに政府はいまだに経済制裁を発動しない。横田夫妻はそのことへの不満も述べていて、小泉首相の決断を促す意味でも、岡田氏の質間は的を射たものでした。古舘さんは、知ったかぶりをしてトンチンカンな批判をしちゃったんでしょうね」
その古舘はニュースの最後をこう締めた。「ああいう質間をするのは想像ですけれども、北をとっちめたいと思うあまり、非常に苦しい立場にいるご夫妻に、この覚悟はありやなしやと訊いているふうに聞こえちゃうんですね。本人に確認したわけじゃないですけども」
家族会の増元照明事務局長が嘆息して語る。「古舘さんは経済制裁の意味合いや家族の気持ちを全然わかっていないんじゃないでしょうか。『とっちめたい』という言葉は、報複のために経済制裁をすると言っているわけで、私たちは経済制裁という圧カで対話を引き出してほしいと思っているだけなんです」
当の横田夫妻もこう語している。「岡田先生が自分たちの考えを分かっていた上で、あえて国会の場でそのことを家族の口から語すことが大切と判断してあの質間をしてくださったことと思っています」
テレビ朝日は「事実関係を調査している」(広報部)と言うのみで、古舘サイドもノーコメント。
二十四日から三日間、家族会は、首相官邸周辺で経済制裁発動を求めて座り込みを行うという。高齢者も多い家族たちにそこまでさせる覚悟の程を、古舘と小泉首相は本当に理解しているのだろうか。
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