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2005総選挙・攻防〔記者座談会〕 1区、「奥田党」「背水の陣」で士気あおる

北國新聞朝刊 2005/8/31付

 急転直下の衆院解散後、衆院選県内3小選挙区の戦いへやぐら組みを急いできた8陣営はどのような態勢で決戦のスタートラインに立ち、11日間の今後の戦いに臨もうとしているのか。公示日の30日の動きを中心に、選挙取材担当記者が語り合った。

■〔1区〕
 A 1区は過去一勝一敗で分けてきた民主の奥田建候補と自民の馳浩候補の三度目の激突だが、比例代表との重複立候補を辞退した馳候補には後がない戦いとなった。
 B 奥田候補陣営の中核となる新進石川勢力は「今こそ自民の息の根を止めるチャンス」と、従来以上に力が入っているようだ。出陣式でも「圧勝を」の連呼だったが、その一方で金原博選挙事務長は「実に厳しい戦いだ」と引き締めに躍起だった。他候補とともに比例重複一位となった奥田候補には、万一負けても復活する道が残っているだけに、組織の緩みを警戒したんだろう。
 C 馳候補陣営の出陣式で岡田直樹選対本部長は、自公で過半数を一議席でも割れば退陣すると明言した小泉純一郎首相を引き合いに「馳候補も一票でも下回れば比例救済の道はない」としきりに強調していた。当初は比例重複辞退に異論もあったが、今は背水の陣を前面に危機感をあおっている。「命懸け」「死に物狂い」の言葉が飛び交っていたよ。
 A 奥田候補陣営は前回同様、”森奥戦争”の図式に持ち込みたいのかな。
 B 公示日夜の個人演説会で宇野邦夫選対本部長は早速「石川が『森王国』になって県民の幸せはあるのか」と馳候補より2区の森喜朗候補に攻撃の矛先を向けていた。奥田候補はともかく、陣営は公示前から民主党より”奥田党”を強調して士気を高めていたよ。
 C それは馳候補陣営も十分、警戒している。前哨戦では下沢佳充選対事務長が「民主党も、古い体質の奥田系も既得権益を守りたいだけだ」と自・民対決に絡めた物言いをしていた。”森奥”一色にはさせないということだろう。
 D 経済人では、馳候補陣営はこれまで通り、連合後援会長の澁谷弘利澁谷工業社長が先頭に立つ。一方の奥田候補陣営では、前回は終盤にようやく表に出てきた宮太郎金沢商工会議所会頭が出陣式からマイクを握った。
 B 司会者に「選挙の守り神」と紹介された宮氏は杖(つえ)をつきながらも「(奥田候補の父の)敬和氏の友人としてお願いする」と上機嫌だった。日曜日に奥田候補や金原、宇野両氏が頼みに来たらしいが、出陣式の後、選挙事務所にも二時間近くいたそうだ。
 D 宮氏といえば、かつて新幹線をめぐり森候補とやりあい、その渦中に馳候補もいただけに、怨念(おんねん)は残っているとの見方もあるね。
 C 馳候補陣営では、”奥田党”の集票マシンとされている市内の建設業界を切り崩すため、旧建設省出身の沓掛哲男参院議員をフル稼働させる構えだ。出陣式で「今回は燃えている」と紹介され、公示前には森候補からも念を押されていたらしい。
 A 両陣営が頼みとする援軍はどうか。
 C 馳候補陣営では、自民党校下部会と公明党の地区組織が合同の集会も開くなど連携を強めている。出陣式では南部康昭公明党県本部副代表が絶叫調で「公明党も死力を尽くして頑張る」と訴えていた。
 B 奥田候補陣営でも連合石川が前回と違って早くからエンジンがかかっている。出陣式で川淵尚志会長は「前回よりもう一歩力を入れて不動の勝利を勝ち取る」と自信をみせていた。

■〔2区〕 開票一本化めぐり応酬
 A 2区ではやはり市町村合併が集票に及ぼす影響が気になるね。公示日の首長の動きはどうだったか。
 E 森喜朗候補の出陣式には七市町の全首長が顔をそろえた。自治体の数が減り、”成績”が端的に出るだけに、公示前から「恥ずかしい票は絶対に出せない」と、いつもに増して緊張感を漂わせる首長も多かった。中でも八市町村が合併し、開票が一本化される白山市の角光雄市長は、三十日の松任選挙事務所開きで「合併で力が半減すると言われるが、相手候補が言っていることだと思う」と対抗心をあらわにしていた。
 F 一川保夫候補の出陣式には白山、小松両市と野々市町から助役が派遣されていた。地域別の得票がつかみにくくなり、陣営が「大物候補の縛りが解け、古い政治風土を払拭(ふっしょく)する契機になる」と合併効果を期待しているのは事実だ。ただ、後援会事務所開きで支援を訴えていた旧美川町長の竹内信孝氏は、出陣式に出席しなかった。三十日の美川選挙事務所開きで竹内氏の姿を見掛けたが、事務所の中には入らなかったらしいよ。
 A 森候補陣営では、旧町村長の大半が地区後援会長を務める前回同様の布陣だが、やはり温度差は否めないのではないか。
 E 実際に「現職の時に比べればプレッシャーはない」と漏らす元首長もいる。選対本部長の西田耕豊川北町長は出陣式などで「当選疑いなしというのが一番怖い」と引き締めに躍起だった。鶴来選挙事務所開きでも、中川石雄県議が「まさか手抜きする人はいないと思うが」と白山市全域を見やり、やんわりクギを刺していた。
 F 三回連続で比例で復活当選を果たした一川候補陣営とすれば、やはり小選挙区での勝利を目指す考えに変わりがないようだが、逆に比例の戦いを持ち出して危機感をあおる幹部もいる。民主の比例名簿でともに一位で並ぶ1区奥田、3区桑原の両候補の票が相当伸びると強調しながら、支持拡大にゲキを飛ばす声もあった。
 E これに対して森候補陣営の幹部は「向こう(一川候補)はバッジを外すか外さないかの選挙だ」と対決ムードをあおって奮起を促していた。
 G 十月の能美、加賀市議選が2区の戦いにどう影響するかも注視されている。出馬予定者は足元に森、一川両候補の支援者を抱え、明確に一方の支援を呼び掛けにくいとの声も聞かれる。
●共産党は比例議席回復が至上命題
 K 1区の佐藤正幸、2区の西村祐士の両共産公認候補はそれぞれに自民、民主両党への批判を強め、支持拡大に努めている。3区の候補擁立を見送ったが、比例代表北陸信越ブロックでの議席回復を至上命題としており、県内で前回衆院選を上回る四万三千票の比例票獲得を目標に、街頭演説などで政策浸透を図ろうとしている。

■〔3区〕 県議揺れるも結束示す
 A 北村茂男候補の出陣式には能登の自民県議のうち馳候補の出陣式に臨んだ県連幹事長の矢田富郎氏を除く十一氏全員が出席した。比例に回った瓦力候補とのすみ分けで揺れに揺れながらも、何とか結束を示したというところか。
 H 北村候補の出陣式後、県議の多くは瓦候補の出陣式に移動した。もし瓦候補が非公認で3区に出馬していたら間違いなく県議団の足並みは乱れていた。瓦候補に近い県議の一人は比例での”当確”に感極まった様子で涙を流し、瓦候補は「我慢が大事だよ」と手を握っていた。
 I 陣営内には名簿四位なら3区出馬との主戦論もあったが、党人派の瓦候補が比例のイスを蹴ってまで3区に出馬するのは、非現実的との見方がもっぱらだった。
 H 瓦候補は比例名簿が発表される二十九日にも小泉首相に電話を掛けたものの、直接話ができなかったという情報もある。解散後、今回当選すれば衆院議長就任の可能性が大きくなると自ら語っていたという。最後まで党本部の動きを慎重に見ていたのではないか。
 A 北村候補の出陣式には、能登の大半の首長も顔を出した。瓦候補が比例で”当確”となり、安心して出席したのではないか。
 I 武元文平七尾市長と宮丸冨士雄門前町長の二人は瓦候補の出陣式のみに出席していた。武元市長は昨年の市長選で瓦候補の支持を受けており、北村、桑原両候補の出陣式には助役を派遣していた。
 J 武元市長と、北村候補支援に回る七尾市選出の三県議のしこりが解消されたとはまだ言えない状況だ。桑原候補の七尾後援会に旧坂本系メンバーが就いているとされ、陣営内には保守層切り崩しの突破口として旧坂本系に期待する空気もあるよ。
 A 前回衆院選では旧七尾市内で桑原候補が瓦候補に約二千票差まで迫った。いずれにしても、今回の選挙戦で厚い保守地盤を形成してきた旧三代議士系列が転機を迎えることは必至だ。
 J 桑原候補陣営の幹部は前回、瓦候補への批判票をかなり取り込んだとみる一方で、今回はその票が北村候補に戻る可能性もあると語っていた。その分、従来の瓦候補支持票取り込みに全力を挙げる構えで、出陣式でも金田平夫選対本部長が「(北村候補は)瓦さんよりかなり強い相手だ」とゲキを飛ばしていた。
 A 桑原候補の支持母体である労組の動きはどうか。
 J 桑原候補の政治生命を賭けた戦いとして、出身母体の自治労を中心に全県から人員を投入している。二年前の県議選能美郡選挙区(当時)で苦杯をなめ、来春の知事選と同時の県議補選への出馬が取りざたされる沢田貞氏も桑原候補に付き添うように3区を回っていた。
 H 北村候補の出陣式には前回県議選輪島市選挙区で激戦を演じた宮地治氏も姿を見せ、その後、瓦候補の出陣式に向かった。公示前、北村候補が宮地氏の自宅にあいさつに訪れた際、玄関に北村候補のポスターが張られていた。今回の衆院選が輪島市選挙区補選にも影響するだろう。

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