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党員票にらみ「地方重視」 自民党北陸信越ブロック大会 初の3氏討論 安倍氏「自主財源確保を」 富山県の事業引き合いに

北國新聞朝刊 2006/8/27付

 二十六日の自民党北陸・信越ブロック大会では、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相の三氏による「演説」だけでなく、討論会形式が初めて実現した。三氏はそろって地域間格差是正に取り組む姿勢を示すなど、党員票の獲得をにらんで「地方重視」の政策をアピールした。 

●〔格差是正〕 
 安倍氏は地域間格差是正に関連し、「住民が責任を持ち知恵を出すことが大切」と述べ、地方の自主財源を確保することが必要と指摘した。
 具体的な事例として持ち出したのは富山県の産学官連携事業で、世界展開を視野にオリジナルブランドづくりに取り組んでいると評価した上で「国でどう支援できるか考えていかなければならない」と話した。
 谷垣氏は「地方に税源移譲があったが財源がなくなったという声がある」とし、「ふるさと共同税」の創設で税収の偏在を是正する考えを示した。さらに地方の独自性を発揮するため、地域活性化に取り組む人材の発掘や歴史、文化のアピール、インフラ整備、地域コミュニティーの再生を進めることが大事だとした。
 麻生氏は「情報通信技術の進歩で飛躍的にものが変わる時代に、その基盤整備ができていないという点で地域間格差が大きい」と指摘。情報通信産業発展のためのインフラ整備が必要だとした。高速道路や駅を結ぶ高規格道路についても「ライフラインとして必要なものだと思う」と述べた。
 麻生氏が北陸新幹線整備の必要性を述べながら、「財務省を責めているみたいだな」と隣の谷垣氏に目を向ける場面もあった。

●〔財政政策〕 麻生氏、消費税率上げ慎重に
 谷垣氏は、消費税率引き上げについて「国の借金を減らすためには二〇一〇年代半ばまでに、少なくとも消費税率10%が必要だ。財政再建に残されている時間はあまりない」と説いた。これに対し、麻生氏は「引き上げをいつ、いくらにするかは慎重に考えるべき。財政再建原理主義のような発言はしない」と反論。安倍氏は消費税率に言及しなかった。
 経済政策については、三氏とも人材育成や技術革新などによる生産性の向上が不可欠と指摘した。安倍氏は、地方からの輸出促進など、世界に開かれた日本を推し進める考えを強調し、「アジア経済の成長をしっかり取りこんでいくべきだ」と語った。
 谷垣氏は、女性や高齢者の活用や科学技術への投資に意欲を示し、ニートやフリーターに対するきめ細かい施策にも配慮するとした。麻生氏は、「時代に合った伸びる企業、伸びる分野を後押していく」と述べ、世界のトップシェアを持てるような中小企業を育てていく姿勢を示した。

●〔外交・拉致〕 谷垣氏、アジア外交正常化を
 外交問題では安倍氏が、北朝鮮のミサイル発射や日本人拉致事件について「今のままの政策をとるなら、状況がもっと悪くなると理解させるよう対話と圧力の政策を堅持する」と強調。麻生氏も「対話だけでは効果がない。必ず圧力が必要だ」と指摘した。
 安倍氏は日米関係に関して「(日米安保条約が)あるから大丈夫でなく、信頼関係があって初めて成立する」と述べ、対話のパイプを強くする必要性を説いた。中国、韓国との首脳会談の早期開催を目指す考えも示した。
 麻生氏は一極化した米国との関係維持の意義を強調し、「(日米安保)条約が常に作動するように、努力が必要だ」と述べた。
 これに対して、谷垣氏は日米基軸を基本とした上で、アジア外交の正常化を訴えた。アジアの発言力を高めるため「日本が主導権を発揮すべき」と強調した。拉致問題に関しては「拉致問題で苦労している二人の間で財政担当の私は話しにくい」としながらも、国際的な犯罪、脅威への監視システム構築が国際的信頼につながるとした。

■安倍氏が関心独り占め 国会議員「安心できた」と評価 参院選に触れず不満も 石川県内から100人参加
 ブロック大会に出席した党石川県連関係者が特に関心を寄せたのは、総裁選で優位が確定的となっている安倍氏の発言だった。沓掛哲男国家公安委員長・防災・有事法制担当相は「地元で関心の高い拉致問題で、安倍さんは毅然と対応する強い姿勢を示していた」と評価した。
 ガンバロー三唱の音頭を取った県連会長の馳浩文部科学副大臣は安倍氏の演説を「安心して見ていられた」、北村茂男代議士も「日本の将来像などあらゆる面で安倍氏の演説に最も共感した」と指摘。岡田直樹参院議員は三氏の演説を「紳士的だけど、見えないさや当てがあった」と分析した。
 大会には石川県内から県議ら約百人が出席。上田幸雄県連幹事長は今後の総裁選の盛り上がりに期待を寄せ、「それぞれ素晴らしい資質があり、だれが首相になっても力を合わせて国政を運営してほしい」と語った。
 自民党県連は来夏の参院選に向け、現職の沓掛氏を含めて候補調整を急いでいる。三氏の討論を聞き終えた中堅県議の一人からは「乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負となる参院選に挑む思いが伝わってこなかった」との不満も。
 三氏がそろって公共事業の必要性に言及したことを評価しながらも「本当に必要ならば、これ以上予算を削るようなことはしてほしくない」(能登地区の県議)と有言実行を求める声もあった。

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