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162-参-外交防衛委員会-12号 2005年5月10日

○岡田直樹君 おはようございます。自由民主党の岡田でございます。
  町村大臣には、先ほど御報告にありましたとおり、議長を務められたASEM外相会合を始め、寸暇もなく活動されて、またそれに加えてイラクで邦人が拘束されるという心配事が増えたようであります。大変御苦労さまであります。
  努力をされた結果、中国の反日デモが鎮静化に向かっていることは結構だと思うんですけれども、ただ、今回の事件というのは、中国が自ら火種をまいてまたそれを消してというマッチポンプのようなそういう印象をどうしてもぬぐえないわけであります。こうしたことに割り切れない思いを抱く日本人も少なくないんではないか、こういうふうに思うわけであります。
  そこで、今の御報告にもありました先般の日中また日中韓の外相会談に関連して幾つかお尋ねをしたいと思います。
  まず第一に、李外交部長に対して大臣はまた謝罪そして賠償を求められたわけでありますけれども、依然として謝罪の言葉は聞かれないと。もう大臣もいい加減うんざりしておられるんじゃないかと思うんですけれども、これからもこの謝罪を求め続けていかれるのか、あるいは今の程度が中国側として精一杯の対応ということで判断をして矛を収めるのか、この辺り、大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 今回の日中外相会談の中では、かなりこの問題についてのやり取り、時間を使って話し合ったところでございました。これは四月の十七日の日中会談、外相会談に引き続いて、七日でもまた中国側に対しまして陳謝とそれから損害の賠償、加害者の処罰、再発防止等の申入れを行ってきたわけでございますが、結果として中国側より何ら陳謝あるいは遺憾の意の表明というものはなかったということでございます。
  李部長からは、原状回復にきちんと取り組んでおり、再発防止についても中国にある公館、日本企業、邦人の安全確保に最大限、大変なエネルギーを使って努力をしているんだという説明があり、引き続き国内法、国際法を尊重して責任ある対応をしていくと、さらには一部の過激な行動については賛成しないし反対だということ、そして本件についての日本国民の重大な関心は十分理解をしており、国際的な義務を今後も履行していく考えであると、こういう発言があったところでございます。
  私としては、日本人の関心に理解をし、また国際的な義務を今後も履行すると言うのであれば、なぜあなた、しかるべき陳謝の意の表明であるとかきちんと損害賠償するということを言わないのですかということを再三申し上げたのでありますけれども、先ほど申し上げた以上の回答はございませんでした。
  原状回復も、いや、もうやっているでしょうというような言い方をされたわけでありますが、しかし大使館、北京にある大使館については先方外交部の配下にある企業が訪問をしてきたという事実はあるようですけれども、それはなぜかというと、これは私の推測ですけれども、日本国の大使館はこれは中国政府の持ち物なんですね。他方、日本国政府の持ち物である北京にある大使公邸あるいは上海総領事館には何にも言ってこないと、こういう違いがあるのじゃありませんかということを申し上げたところ、先方は、事実関係はどうもよく分からないというような感じだったものですから、持ち帰ってよく調べると、こういうことでありました。
  したがいまして、私ども日本政府としては、引き続き中国側に対して責任ある対応を求めていくという考えに変わりはございません。
○岡田直樹君 なかなか謝罪の言葉を引き出すことは困難だとは思いますが、いったん謝罪を求めたからには、ある程度執拗に責任の追及をお願いしたいというふうに思います。
  また、今も原状回復という言葉が出てまいりましたけれども、賠償ではなくて原状回復という、これはもうちょっとすっきりしないところで、この点、私なんかは、北京の大使公邸やら上海の総領事館なんかは日本の業者に直させて、その請求書を中国政府に送り付けたいような、そんな気もするわけでありますけれども、そんなこともできないでしょうから、できるだけ日本国民の納得のいく形で解決を図っていただくようにお願いをしたいと思います。
  それから、以前この委員会で、四月十四日、十九日と同僚の議員からも質問があった件でありますけれども、この反日デモによる公館及び邦人の、日本人の受けた損害額の概算について、大体の数字というのはもう一月近くたちましたからまとまっているかなと思ったんですけれども、昨日聞いた時点ではまだ集計中ということでありました。いつごろになったらできるか、事務方の方で結構でございますから、見通しというのをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(西宮伸一君) お尋ねの点でございますけれども、本件我が国公館の損害額につきましては、現時点においては、これ見込みでございますけれども、数千万円ぐらいではないかというふうに考えておりますが、正に現在、詳細な見積りを算出できるように作業を加速化しておるところでございまして、申し上げました数字は現時点でのあくまでも見込みということでございます。
  それから、日系企業等の損害につきましては、現在、在外公館を通じて調査を鋭意進めておるところでございます。
○岡田直樹君 随分厳密に算定をしておられるようでありますけれども、こういったものは、どだい正確な数字を出すということは難しいのではないかと思います。中国側の責任を追及する一つの材料にもなるわけでありますから、少し多めに見積もっても罰は当たるまいと、こういうふうに思うんであります。余り時間を掛けることなく、概算でいいからこれをはじき出して、また中国側に示すということをお願いしたいと思います。
  また、民間の受けた損害に関してでありますけれども、日本人の店舗、例えば料理店といったところが破壊されて被った被害、またそうした店が休業せざるを得なくて逸失した利益、あるいは直接、間接に日本人が暴力を受けた、恐怖にさらされた、そのことに対する慰謝料、こういったものについては基本的には個々の日本人が中国の裁判所に訴えるほかないのかなと思うわけでありますけれども、中国という国はまだ完全な法治国家ではなくて、人が治める人治国家というふうにも言われるわけであります。裁判も随分恣意的なものがあるのではないかと思います。結局、日本人が泣き寝入りをするケースも出てくると、こう思うわけでありまして、日本政府としては極力サポートをしなければならないと思うわけであります。
  こういった点、外務省はどのような対応をお考えか、お答えをいただきたい。
○政府参考人(鹿取克章君) 今回のデモによりまして日本国民及び日本企業が生じた損害の救済につきましては、これまでも外務大臣から、また事務方からも、中国の国内法に基づき、損害の賠償を含む措置を適切にとることを累次求めております。引き続き、中国側の善処を求めていく考えです。
  御指摘のとおり、在留邦人の方々にとっては今回いろいろな損害が出ております。私どもは、北京においても、また上海においても在留邦人社会とは緊密な連携を常日ごろから持っておりますけれども、これからもこの連携を利用しまして在留邦人等の方々の意思疎通はよく図っていきたいと思います。そして、大使館、総領事館として、側面支援として、在留邦人の方からいろんな話を聞いて、また中国に対し、中国側に対して申し入れる、そういう形でこれからも緊密に連携していきたいと考えている次第であります。
○岡田直樹君 次に、大臣にお伺いしたいんですが、日中外相会談で中国側からまたいろんな注文があって、小泉総理の靖国神社参拝中止についても強い調子で求めてきたというふうに伺っておりますが、どういうふうな発言がございましたか。また、大臣はどうお受け止めになられたでしょうか。
  ちょっと自分の意見を申し上げて恐縮なんですけれども、私は中国に言われて参拝をやめるべきではないし、また、今日、A級戦犯を分祀するということも難しいだろうと思います。ただ、日中や日韓の間で未来永劫この問題が障害になるようなことがあってはならないと、どこかでその悪循環を断ち切らねばならないというふうに思っております。
  今回、ジャカルタで総理が演説をされたそのベースには、戦後五十年の年に村山総理が談話を出した、その総理談話があったわけでありますけれども、私は、今年、戦後六十年という機会に何らかの形で靖国参拝に関する政府見解か総理談話のようなものを内外に示すことはできないかと、こういうふうに思うんであります。同じアジアの国、特に中国と全面的に戦ってしまったという、こういう歴史に対する痛切な反省、あるいは悔悟の気持ち、あるいは不戦、平和の祈り、そういった決意を込めて靖国神社にあえて参拝をするんだということを説明すべきではないかと思うんです。
  そこには国家の意思によって戦場に倒れた方々が祭られているわけであります。また、国家の指導層であっても、戦争犯罪人となられた人であっても、既に極刑に付されて長い年月がたっています。その中には外務大臣も務めた広田弘毅のような、文官で本当に死刑が相当であったか疑わしい人もいるわけであります。こうした人々も含めて慰霊をするということが国家の責務であり、理解してほしいということを情理を尽くして近隣諸国に説明するということがあってもいいんではないかと思います。
  小泉総理も平和を祈念して参拝するんだと、こう言われているわけでありますけれども、若干言葉が短いように感じます。是非、戦後六十年を機会に、総理がなぜ靖国に参るのか、内外に明らかにしていただきたいと思うんです。それでも中国や韓国は了解しないと思います。しかし、総理が靖国に参拝しながら、しかし日本の国は決して軍国主義になるはずもないし、平和で民主的な国家であり続けると、そのことを身をもって示していくことが唯一の解決策ではなかろうかと、こういうふうに思います。
  少し長い話をいたしましたけれども、町村大臣、こういった政府見解か総理談話というものを示すということはできないでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 先般の日中外相会談の席で、李外交部長からは、アジア・アフリカ会議、先月下旬にインドネシアで開かれたあのアジア・アフリカ首脳会議でございますが、これにおける小泉総理のスピーチにおいて述べられた過去の侵略に対する発言を評価しているという旨を述べたわけでありますが、同時に、A級戦犯が祭られている靖国神社には絶対参拝しないでほしいという発言があったところでございます。私からは、日本の歴史認識というのはこれまで何度も何度もいろいろな形で述べているとおりであるし、それを言わば集大成をしたものの一つが先般の小泉総理の発言であったと、こういう説明、発言をしたところであります。
  今委員は、この靖国参拝についての政府見解あるいは総理談話等を何か出したらどうかという御提案でございました。これについても、もう総理大臣は、これ、国会での質疑等々、あるいは記者会見等を通じてもう再三にわたってこのことは言っておられるわけでありまして、例えば最近の時点で言いますと、一月二十七日、衆議院予算委員会での菅直人議員に対する答弁の中で、私が、私というのは小泉総理のことでありますけれども、私が靖国神社を参拝するのは、二度と戦争をしてはならない、そして、戦争のときに心ならずも戦場に赴かなければならなかった、家族と離れて命を落とさざるを得なかった、そういう方々に哀悼の誠をささげるため、私は靖国神社を参拝しております。そして、今、若い方々、努力されておりますけれども、今日の平和と繁栄というものは、今生きている人だけで成り立っているものではない。亡くなられた方々、戦争に行って命を落とさざるを得なかった、そういう方々の尊い犠牲の上に今日の日本があるんだ、そういう方々に、先輩たち、命を落とした方々に敬意と感謝をささげつつ、これから二度と戦争をしてはならないという気持ちで毎年参拝しておりますと。
  これ以上明快な説明は私はないだろうと、こう思っておるわけでありまして、まあ、改めて見解を出すか否か、委員からの御指摘でございますから総理とも相談をしてみたいとは思いますけれども、もう非常にこの総理の発言というのは、今まで幾たびとなくいろいろな場面で言われている内容ではないのかなと、こう私自身は考えて、受け止めているところであります。
○岡田直樹君 ちょっと情緒的な話をして申し訳ないんですけれども、靖国神社に聞いてみましたら、終戦のときに陸軍大臣であって、責任を負って自決をされた阿南大将もやはり合祀をされているということであります。それは、今の阿南大使が生まれたか、あるいはまだお母さんのおなかの中にいるころのことでなかったかと思うわけです。阿南大使が靖国神社にお参りをされたかどうか知りません。中国側に配慮して、そういったことは最近ないのだろうと思いますけれども、そういったことを禁ずるということは、中国にも韓国にも、だれにもできないのではないか。こうした日本人の心情というものも含めて、近隣の諸国に何らかの形で改めて伝えるということがあってもいいんではないかと、私見を述べて恐縮でございましたが、私はこう考えております。
  それから、日中韓の会談の中で、さきに町村大臣が提案をされた歴史共同研究につきまして、韓国の外交通商大臣から、日中韓、三か国で共同研究をしてはどうかという反応があって、中国の外交部長も否定をしなかったというふうに聞いております。
  やはり来たかというような感じがいたしまして、四月十四日、私、この委員会で懸念を申し上げたんですけれども、歴史共同研究というのは、日韓、日中の二国間でもなかなか公正な論議というのは難しいと思うんです。下手をすると、中国、韓国のペースにはまってしまうんではないかということを申し上げました。まして、三か国となると、中韓が連携して日本を挟み打ちにするというようなおそれが強いわけであります。学者といえども、彼らは国益を背負って主張をいたしますから、歴史認識はおろか、事実の関係についても公正な議論というのは困難ではないかと思います。
  大臣も、この三か国共同研究というテーブルに着くおつもりではないと思うんですけれども、この際そのことを明言された方がよろしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(町村信孝君) 七日、京都で、これは恒例の日中韓外相三者委員会というものが開かれておりまして、そこの場でやり取りがあったわけでございます。
  私からは、今、日韓で実施中の歴史共同研究、大体一区切り付いてきたところで、また新たな枠組みで新たな人選をして始めようと思っていると。日中については、四月十七日の日中外相会談で提起をし、今後、中身について、どういうテーマでどういうメンバーでというのは今後よく調整をしていこうという段階であるので、にわかに日中韓三か国でやるというのは、まず二国間がしっかり進んだ後に、その後に考えるテーマではないんだろうかと、今後の検討課題ではないかというようなことでありまして、私は中国、韓国いずれも、三か国で一緒に、一、二の三で三者集まってやろうという具体の提案があったというふうに私はそのとき受け止めておりませんでしたが、一部報道でそういう提案があったというような感じになっておりますが、その場にいた話した感じでは何かそういうことを、三者共同研究会みたいなものを立ち上げようという具体な話ではなかったと、私はそう受け止めておりますし、また今、そういうことを今始める段階にはないと、こう考えております。
○岡田直樹君 その後、中国と韓国の首脳会談でも、歴史認識というものを共有して連携を取っていこうというような、そういう話があったようにも聞いております。私は、元々この二国間の歴史共同研究というのも非常に難しいから、いっそほかのアジア諸国とかあるいは欧米の比較的中立な立場の研究者も加えて国際的な研究のテーブルをつくって、日中、日韓の問題についても議論をしてもらったらどうかと、こういった考えで、先日、大臣いらっしゃいませんでしたけれども、この委員会で参考人質疑をしたときに、小島教授や柳井大使にそういうことを申し上げたこともございます。ただ、三か国よりはまだ二国間の方がやりやすいし、冷静な議論もできると思いますので、是非この点は譲らないようにお願いをしたいと思います。
  最後に、ロシアの対独戦勝記念式典でありますけれども、これに小泉総理が出席されていることについて、その意味と成果についてお伺いをしたいと思います。
  賛否両論聞くわけでありまして、中にはこういう戦勝国のセレモニーに敗戦国である日本の総理が行く必要はなかったんじゃないかと、駐ロシア大使でも顔を出せば十分だったのではないかと、こういうふうな意見も聞きました。それは極端な話としても、私はドイツの首相が行くのとはやっぱり若干意味が違うと思うんです。対独戦争も終わって、そして大戦末期、もう日本が本当にダウン寸前のときに宣戦布告をしてきた旧ソ連、その戦勝を祝う式典に日本の総理が出席するのは、先ほどから見ております中国や韓国の歴史に対して非常に執拗であるその姿勢と比べてちょっとむとんちゃくではないかなというような感じも受けるわけであります。
  私自身、この式典が本当に国連決議のとおり追悼と和解の日のセレモニーになるのであれば総理が行かれても意味があると思いましたけれども、実際の式典、新聞等で見ます限り、赤の広場でロシア軍がウラー、ウラーと叫んだり、あるいはプーチン大統領が偉大な勝利の日を祝いロシアに栄光あれと、こういう演説をしたり、やっぱり戦勝記念式典の色彩が強かったようであります。
  そんな中でも、日ロ首脳会談では、プーチン大統領の訪日を前向きに検討するということで一致をしたというふうにも聞いておりますけれども、北方領土問題についての話合いはどうであったのか、総理がこの式典に出席された意義とそこで得た成果というものは何であったか、町村大臣からお考えを伺いまして、私の質問を終えたいと思います。
○国務大臣(町村信孝君) 九日、モスクワで行われました委員御指摘の第二次世界大戦終了六十周年記念式典、これは昨年の十一月、ロシアとCIS諸国等が共同提案国となって提出いたしました、五月八日及び九日を追悼と和解のときと宣言をする第二次大戦終了六十周年記念に関する国連総会決議がコンセンサスで採択をされたということでありまして、その中身は、第二次大戦の犠牲者に敬意を表すべく、すべての国連加盟国、個人が五月八日又は九日に適当な方法でそれを祝うということを促すという内容であったわけであります。したがいまして、それぞれの国が、それぞれの立場が違っていたわけであります、正にこの五月八日、九日はですね。であるわけですけれども、日本を含む約五十か国の首脳等が出席をし、現実に首脳等が出席しなかった国は本当にごく少数であったということのようであります。したがいまして、国際社会の団結と連帯を内外に示すということができたことはやはり意義があったと私は考えますし、戦後六十年を経て日本が国際社会の責任あるリーダーであるということのあかしとしての出席というのは私は意味があったと、こう考えております。
  日ロ首脳会談も行われたようでありまして、まだ私はちょっと、どういう具体のやり取りがあったか、必ずしも詳細な報告を受けておりません。その日ロ、今度のプーチン大統領の訪日の話がどこまで議論されたのか、ちょっと私もまだ詳しいこと報告を受けておりませんのでよく分かりませんけれども、総理からは、できるだけ都合のいい時期に、早い時期に訪日をされればそれを歓迎するということを述べ、プーチン大統領からも、訪日を楽しみにしている、具体の時期については引き続き外交ルートで調整していこうと、何かこういう趣旨のやり取りがあったようでございます。
  いずれにいたしましても、仮にこれ行かないという姿を想像したときに、多分圧倒的にマスコミの関心はなぜ日本が行かなかったのかという一点に集中をしたのではないのかなということすら考えられるわけでありまして、結論としては私はやはり行って良かったんではないだろうかと、こう思っているところであります。
○岡田直樹君 終わります。

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