162-参-外交防衛委員会-18号 2005年7月12日 午後の部
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。
午前中、この委員会でミサイル防衛に関する参考人質疑を行いまして、それに引き続き、ミサイル防衛に私は賛成の立場から若干の御質問をさせていただきたいと思います。
先日、サミットの最中に、ロンドンで一般市民を多数殺傷する無差別テロが発生をいたしました。ああした残忍なテロに対する戦いというのは非常に困難でありますけれども、国際社会はますます結束を強固にして共同対処をしなければならないと思います。
そして、防衛白書においても、弾道ミサイルについて、従来の抑止が通用しにくいテロリスト等の非国家主体がこれらの兵器を取得する可能性もあると、こういう指摘をしておりますけれども、白書にあるとおり、テロリストあるいは従来しばしばテロを繰り返してきたような国家が日本をミサイルで攻撃する、この場合にはもちろんミサイル防衛が機能をするわけでありますけれども、日本の上空あるいは周辺を通過してそのミサイルが米国などの日本の同盟国に向かう、あるいは第三国、一般に向かう場合、これを日本のミサイル防衛で迎撃することが可能かどうか、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(大野功統君) まず、平成十五年十二月十九日の官房長官談話を思い起こしていただきたいと思います。「今回我が国が導入するBMDシステムは、あくまでも我が国を防衛することを目的とするものであって、」云々として、「第三国の防衛のために用いられることはない」、このように言い切っているわけでございます。
当然のことでございますけれども、国連憲章五十一条では各国とも自然権として集団的自衛権、個別的自衛権を持っているわけであります。しかしながら、我が国の憲法上の制約として我が国の防衛のために必要な最小限度の範囲にとどめるのが我が国の自衛権の問題である。そういうことで、集団的自衛権の行使はその範囲を超えるものであって憲法上許されない、このような解釈になっているわけであります。
その上で申し上げたいのでありますけれども、我が国が憲法上、集団的自衛権を行使することができないことは国際的に十分理解されておると思っております。また、十分周知されているものと思っております。アメリカとの間でもこのような集団的自衛権は日本は行使しない、し得ない、こういうような前提の下で米国との間でもミサイル防衛の運用を協議しているわけでございますけれども、このミサイル防衛につきましては、情報面、運用面、いろんな面でアメリカとの協力関係、これが大事になってくる、このように私は理解しております。
○岡田直樹君 先ほど私はテロリストがミサイルを放った場合についてお尋ねをいたしましたが、これについてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(大野功統君) テロリスト、一番世の中で最大の脅威というのは、テロリストが大量破壊兵器を持つことである、これがもう世界で一番脅威なことであります。それを、テロリストがミサイルを使う、こうなってくると、誠にもう世界、テロというのは、先生今御指摘のとおり、もう人類共通の敵ですよ。これ、しかも国家主体を持たない、領域を持たない、いつどこで発生してくるか分からない、こういう存在であります。
したがいまして、一番大事なことは、各国は協調して、断固テロには屈しない、テロは地球上から撲滅するんだ、こういう固い意思の下で国際協調をやっていくことだと、私はそのように信じております。
テロリストがミサイルを撃つ、撃たない、これはまず情報の問題があろうかと思います。仮にそういう情報があれば、国際的に社会が協力してそれに立ち向かっていかなきゃいけない、私はこのように信じております。
○岡田直樹君 先ほど大臣が引用されました官房長官談話、またそれに基づいて我が党の浅野議員の参議院本会議における質問に対する総理の答弁、また衆議院でも度々この問題が取り上げられたと思いますが、我が国の上空を通過するミサイルが例えばアメリカのハワイやグアムに落下して、そして大惨事を引き起こしかねない、そんな場合でも日本として果たして迎撃能力を持ちながらそれに手出しすることができないのか、それは集団的自衛権の問題であろうか、こういう疑問を抱くわけであります。
今回、特に緊急の場合には防衛出動が下令されないうちは警察権の発動という形で説明をしておられるわけであります。今大臣がおっしゃったとおり、大量破壊兵器を積んで飛んでくるミサイルというものは、これは人類共通の危険物あるいは人類共通の敵と言っても構わない、特にテロリストやあるいはテロリスト類似の国家が放つミサイルについてはそういうことが言えると思うんです。これを除去することは警察権あるいは警察活動、そういう範疇に属するものではないかと思います。これが集団的自衛権の問題とどう絡んでくるのか、その理論構成というのを大臣から少し御教示をいただきたいと思います。
○国務大臣(大野功統君) 御教示するなどという立場ではございませんけれども、まずこのミサイル防衛というのはやはり武力を、武器を使うわけであります。それで、今回の法律というのは防衛出動が下令されてない場合に適用される法律であります。防衛出動が下令されておれば、当然これは武力の行使に当たるわけであります。ミサイル防衛、防衛出動が下令されてない場合であっても、時と場合によってはミサイル攻撃が防衛出動につながっていく、この可能性は極めて大である、こういう前提の下に、しかしながら極めて短時間の間に武力行使につながりかねないこのミサイル攻撃、しかも武器を使用するミサイル攻撃をどういう法律構成にしていくのか、これが肝心のポイントだと思います。
一番に、短時間で飛来するミサイルに対して防衛出動なり自衛権の行使ということは、安全保障会議を開いたり閣議で決定したりするいとまはありません。そこで、今回の法律でお願いしているようなシビリアンコントロールを十分尊重しながら、そしてミサイル攻撃に対処していく、このような問題であります。
したがいまして、まずこの警察権ということで、強いて言えば警察権であるというふうに私ども説明させていただいております。警察権というのは公海上あるいは公海の上空ですね、ここで行使しても問題ないわけでありますけれども、これがすなわち武力行使につながりかねない、そういう意味で、この今回のいわゆる集団的自衛権との関連でそこはきちっとしておこうじゃないか、こういう論理構成にしているわけでございます。
我が国に向けて飛来する弾道ミサイルについては、弾道ミサイルの発射が実際に我が国に対する武力攻撃であった場合、であるかもしれない、しかしどんな場合でも、この問題、我が国に向けて飛来する場合は問題ないわけでありますけれども、第三国に向けてミサイルが飛んでいく場合には、今申し上げたようないわゆる集団的自衛権の問題につながりかねないという問題がある。その背景には、言わば、きちっとこの短時間の間にこの武力攻撃あるいは自衛権の発動なり防衛出動なりを下令する時間がない、こういう問題が背景にあろうかと思います。
当該弾道ミサイルの発射が、実際に第三国に対する、日本じゃなくて第三国に対する武力攻撃であった場合に、我が国が当該第三国のためにこのミサイルを、当該ミサイルを破壊するということは、以上の観点から見て、自衛のための必要最小限度、憲法上の、憲法九条にいわゆる自衛のための必要最小限度を超える武力行使との評価を受けることがないとは言えない。誠にあいまいな説明になるかもしれませんが、ないとは言えない、こういう問題があるわけでございます。
そこで、まあ日本としては、防衛の基本的な政策として専守防衛である、憲法九条の解釈として集団的自衛権は持っているけれども行使しない、こういうように明らかな防衛思想をきちっと世界じゅうにメッセージとして流しているわけですから、私は、そのメッセージをきちっと守って、そして、足らざるところはですね、足らざるところはやはり情報をお互いに共有する。日本が得た情報、日本が日本の防衛のために得た情報ですよ、その情報はお互いに共有し合う。その情報によってアメリカは、例えばアメリカとした場合ですね、例えばアメリカとした場合、アメリカはアメリカなりにその情報を参考にしながら対処をしていく、こういうようなことを考えるべきではないかと、私はこのように思います。
○岡田直樹君 日本が将来仮に十分なミサイル防衛の能力を持ったとして、そして日本の上空周辺を通過する弾道ミサイルが第三国、特に我々の同盟国に向かって飛んでいく、そしてそれを本当に指をくわえて見ていなければならないというのは誠に理不尽な感じがいたしますし、これは本当に集団的自衛権云々の問題なのかなと。先ほど申しましたように、これは国際社会が共同で対処すべき人類の敵とみなし得る場合もあると思うんです。そうした場合に、例えば北朝鮮を想定いたしますと、日本の壁があり、そしてアメリカのミサイル防衛の壁がある。この二重の壁があることによって抑止力というものは一層高まると思うんです。
そこで、日本が第三国に向かうミサイルは迎撃しないと、こう初めから明言してしまうことによってこの抑止力を減少するおそれはないかと思うんですけれども、この辺りはいかがでございましょうか。
○国務大臣(大野功統君) 岡田先生御指摘のような側面もあるかもしれません。しかしながら、我が国の防衛の基本的な方針としてきちっとその思想をメッセージとして世界じゅうに送っていく、私はこれは重要なことだと思います。
そして、実際にそれじゃ防衛の問題はどうなんだ、お互いに助け合う問題はどうなんだ。現状で、今の憲法九条の解釈の下で申し上げれば、やはりアメリカはアメリカとしてミサイル防衛というシステムを持っているわけでありますから、そのアメリカのミサイル防衛システム、これで対応してもらいたい。
その背景にあるのは、お互いにミサイルを研究し合うとかいうような、情報を共有するとか情報をあるいは分析するとか、そういうような協力関係というのはでき上がるし、その上に立って日本もアメリカもミサイル防衛ができるものと私は信じております。
○岡田直樹君 先ほど大臣は、日本から迎撃することはできないけれども、しかしその情報を同盟国と共有することは可能であると、こういった趣旨のお答えをなさいましたけれども、ただ、それはいわゆる一般的な情報交換ではなくて、そのミサイル情報をアメリカならアメリカに伝えることによってアメリカが直ちに迎撃ミサイルを発射する、武力の行使に直結する情報であると思いますが、こうした情報の供与というのは集団的自衛権に触れることはございませんか。
○国務大臣(大野功統君) 大変的確な御指摘でございますが、御理解いただきたいのは、日本が出す情報がどういう情報なのか、これが第一点。第二点が、その情報の出し方がどうあるのか、これは第二点。そういう問題があると思います。
第一の、情報の出し方、どういう情報の種類か、こういう問題でありますけれども、これは例えば日本を防衛するための情報であります。アメリカを防衛するための情報ということで発信いたしますと、これは私はやはりこの集団的自衛権とかそういう問題に疑問が差し挟まれてくる可能性はあると思います。日本を守っている情報、そして日本を守るために得た情報をアメリカと交換し合う、アメリカに提供する、これは何ら武力行使と一体となるものではない、このように思います。
それから、情報をどういうふうに、どのように情報を出していくか。例えば、情報を出しながら、これをアメリカ側に対して、何度何分のところにお撃ちくださいとか、撃ってくださいとか、そういう情報の出し方をすれば完全に私は武力行使と一体化するおそれが出てくると、こう思っています。
したがいまして、一般的な情報交換の一環としての情報提供である限り、我が国が提供した情報が結果として米国、米軍等の武力の行使に、まあある程度役に立つということがあっても、米軍等による武力の行使との関係で問題を生ずることはない、憲法上の問題は生じない、私はそのように思っております。
○岡田直樹君 私は、同盟国にとってできるだけ有益な情報というものをすべて提供することがしかるべきと、そしてそれは決して集団的自衛権の問題に触れるようなことはないと、こういうふうに思っております。そして、先ほどから大臣非常に真摯にお答えをいただいたと思いますけれども、そのお答えを聞けば聞くほど何か、集団的自衛権は持っているけれども行使することができないと、こうした言葉が何かへ理屈のような、そういうふうな印象を受けるわけでございます。やはり、事は、我々の同盟国との信義の問題もありましょうし、またテロリズムに対する国際社会の共同対処と、こういう面もあると思います。
このミサイル防衛ということを考えるときに、そうした第三国を守るものではないと言い切ってよいのかどうか。技術的な面からも、あるいは法律的な側面からももう一度御検討をいただきたいと、今後御検討いただきたいと思うものであります。
最後に、統合運用について一つだけお尋ねをいたします。
統合幕僚長を選ぶに当たって、衆議院の委員会の附帯決議に、「統合幕僚長の任命に当たっては、陸海空各自衛隊の順送りによる持ち回りや、各自衛隊のバランスを考慮することなく、最適任の人材を任命すること。」と、こういうふうにありますけれども、大臣はこの附帯決議をどのように受け止められて、どういう任用の仕方がふさわしいとお考えであるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(大野功統君) まず統合幕僚長の問題に入る前に、言わばお互いに仲間同士で助け合えないのか、ごく自然な御質問かと思います。この点はみんなで考えていって、そして良き安全保障体制を築き上げていくべきだと私は思っております。
それから、順送り、統幕長の人選が陸海空順送りは駄目だよという附帯決議があるんだけどどうだ、私は当然のことだと思っています。言わば、統幕長にふさわしい人材を統幕長に任用する、任命する。統幕長というのは、言わば陸海空全体の、我が自衛隊の全体の統一的な運用構想を立案して長官を補佐する立場でありますから、やはり私は、統幕長として長官を一元的に補佐するために考えなきゃいけないことがある。一つは、例えば統率力や判断力は優れてなきゃいけないな。大局的な視野と将来的な展望に立った補佐を行う能力がなきゃいけないな。さらに、国際活動という平和を──今、委員長から短くやれという御示唆でございますので、国際的な問題ということで、広く、幅広い視野を持って統率力のある人材を選んでまいりたい、このように思っております。
○岡田直樹君 時間がなくて失礼しました。
ありがとうございました。
![]()
