166-参-日本国憲法に関する調査特別委員会-2号 2007年4月17日
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました日本国憲法の改正手続に関する法律案について、発議者に質問をいたします。
日本国憲法には多くの国民の権利が規定されておりますが、その中に一つ、極めて重要でありながら、ないがしろにされてきた権利がございます。それは、国の基本法である憲法を改正すべきか否か、主権者たる国民自らが投票して決定する権利であります。
趣旨説明のとおり、日本国憲法九十六条には憲法改正の規定があり、その不可欠の手続として国民投票が明記されています。にもかかわらず、憲法施行から六十年間、国民投票の具体的なルールが一切なかったことは大きな矛盾であり、欠陥であります。この結果、憲法九十六条は絵にかいたもちとなり、より良い憲法を選び取ろうとする国民の権利は奪われ続けてきました。また、裏を返せば、憲法を変えないのだという方々の権利も奪われてきたわけであります。
このように憲法改正手続法、すなわち国民投票法が欠けていたことは、立法不作為による憲法違反と言っても過言ではありません。今こそ国会は、改憲派、護憲派などという立場を超えて、この欠陥を補うことにより、立法府の責任を果たすべきものと信じます。
本日、憲法改正手続法案の審議が本院で開始されたことは歴史的、画期的であり、私たちは、実りある審議を経て本法案を成立させるよう、最善を尽くす決意であります。
参議院での審議に入るに当たり、衆議院における審議経過も踏まえ、改めて発議者から本法案の重要性を国民の皆様に分かりやすい言葉で御説明をいただきたいと存じます。
さて、衆議院において与党と民主党の唯一と言っていい違いは、国民投票の対象でありました。つまり、憲法改正国民投票に絞るのか、あるいは一般的な国政の重要課題にまで対象を広げるかであります。
本法案では憲法改正国民投票に限定しておりますが、私はこれを妥当なものと考えます。我が国政の大原則は代議制、すなわち国会を唯一の立法機関とする間接民主制であります。国政レベルの直接民主制は、この憲法改正国民投票のほかには最高裁判所裁判官の国民審査など極めて例外的であり、日本国憲法の起草者が一般的な国民投票制度を想定していたとは思えません。
たとえ諮問的な国民投票とはいえ、その結果は国会の意思を左右し、我が国政の根幹を変えることになります。かかる重大な変更は、それ自体、憲法改正を必要とするものと考えます。もし、一般的な国民投票制度を求めるならば、まず憲法改正手続法を整備した後、それにのっとって一般的な国民投票制度を憲法に盛り込む改正が必要であります。一足飛びに一般的国民投票制度を導入することには憲法上も疑問が残ります。
なお、本法案の附則には、憲法審査会における予備的国民投票が今後の検討課題となっております。予備的国民投票とはいかなるものを考えておられるかも含めて、発議者の国民投票制度に関する御見解をお伺いします。
次に、投票権者の年齢要件についてお伺いします。
衆議院における併合修正により、投票年齢は、与党原案の満二十歳以上から、原則十八歳以上となりました。
なお、附則において、この法律が施行されるまでの三年の間に、公選法、民法等の関連法令について必要な法制上の措置を講ずるものとの規定が置かれております。
私は、成年年齢を定める民法や選挙権年齢を定める公職選挙法を十八歳に引き下げるのであれば、刑法や少年法なども併せて改正すべきと考えます。権利には義務が伴い、自由には責任が伴うのが道理であり、また、法律上の整合性から考えても、できるだけ十八歳なら十八歳にそろえることが妥当と思います。
そこで、まず投票権者の年齢を十八歳に引き下げた根本的な理由を伺い、あわせて、刑法や少年法などの十八歳への引下げについてどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。
次に、国民投票の運動規制について伺います。
憲法改正国民投票は、個人や政党を選ぶ選挙と異なり、極力運動規制はなくし、意見表明が最大限発揮されるよう、自由に投票運動をさせるべきとの意見があります。しかし、国民投票運動の公正中立性及び公序良俗を守るためには、やはり最小限度の規制を設けることは必要であろうと考えます。
本法案では、公務員等、教育者の地位利用による国民投票運動の禁止規定については存置されておりますが、罰則は設けられておりません。例えば、教育者が学生に対して恣意的な指導を行い、多大な影響を与える事態も考えられます。また、公務員が組織的運動を展開する事態も想定され、国民投票運動の公正さを保てるのかという危惧もあります。
確かに、公務員の政治的行為の制限規定は適用除外とされず、また行政処分を科することにより、こうした懸念はある程度解消できるとは思います。しかし、本法案の附則において、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、必要な法制上の措置を講ずる旨が定められております。この点で、全体の奉仕者である公務員の政治活動にはおのずから一定の限界があり、節度が求められるべきであり、慎重な検討を要請したいと思います。
以上の点を踏まえて、公務員の国民投票運動の在り方についてどのように考えておられるか、お伺いをいたします。
次に、スポットコマーシャルの規制等についてお伺いをいたします。
テレビ等の有料意見広告であるスポットCMの規制については、与党原案の投票期日一週間前からの禁止を二週間前からの禁止と改めました。この規制に関しては、放送事業者の自主的な判断やルールに任せるべきであり、表現の自由に規制を加えるべきではないという主張がある一方で、資金力に物を言わせて有料のスポットCMを大量に流す場合の影響力を考慮し、スポットCMを全面禁止すべきではないかとの意見も見られます。
そこで、スポットCMを二週間前から禁止とした理由についてお伺いします。
あわせて、今日、国民に対するテレビの影響力は極めて大きなものがあります。本法案は、放送事業者などに対して国民投票にかかわる放送についてどのような留意点を求めておりますか、お伺いをしたいと存じます。
終わりに申し上げます。
私は、日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義を人類普遍の原理として堅持をしながら、しかし、時代に即した改正を必要と考えるものであります。憲法改正そのものには熟慮を要し、三年の凍結期間もやむなしと考えますが、しかし、その手続法の成立をこれ以上先送りすることは許されないと存じます。冒頭に述べましたとおり、国民主権、参政権の侵害とも言うべき事態が六十年も続いております。どうせ六十年なかった法律だから、もうしばらくなくてもよかろうとは到底言えないのであります。
衆議院では、自民、公明、民主各党関係者の真剣な御努力により、ほとんど合意の寸前に至りながら、最終の段階で政争の具とされた感が否めません。
本院におきましては、党利党略を離れ、与野党ともに質の高い議論が展開されることを期待し、それこそは本院が良識の府であることを国民に示すゆえんである、こう確信をし、申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
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