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169-参-法務委員会-6号 2008年4月8日

○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹でございます。
 法務委員会で初めての質問となりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 議題の裁判所職員定員法でございますが、先日、私は議院運営委員会の視察で最高裁判所に参りまして、幹部と意見交換もさせていただきました。裁判官を増員することの急務であることは十分改めて認識をいたしましたし、この法律の速やかな改正と施行を願うものであります。有能な裁判官を増やすためにはその前提として、やはり良質な法曹の人口を増やしていく、確保していくということが必要であることは言うまでもないと思うわけであります。今日は二十分という短い質問時間でございますので、端的にこの法曹人口の問題に絞ってお伺いをしたいと思います。
 まず大臣にお伺いをする前に、もう何度も読まれた文書だと思いますが、この規制改革推進のための三か年計画という文書をもう一度読ませていただきます。
 司法試験合格者数の拡大について、法科大学院を含む法曹制度の整備状況等を見定めながら、現在の目標、平成二十二年ころまでに三千人程度を前倒ししてこれを達成することを検討するとともに、その達成後のあるべき法曹人口について、法曹としての質の確保にも配意しつつ、社会的要請等を十分に勘案して、更なる増大について検討を行うと、こうされていたわけであります。しかし、先月二十五日に閣議決定をされました三か年計画の改定では、この中にありました前倒し達成とか、あるいは更なる増大という言葉はすっぱりと思い切りよく削除されたわけでございます。
 法務大臣はこの法曹人口について再三持論を述べておられますし、先ほども勉強会のお話が出ましたけれども、この法曹人口に関する勉強会も法務省の中で主宰をしておられるとお伺いしております。
 そこで、改めて先ほどの閣議決定に込められた大臣の思い、将来の法曹人口に関するお考えというものをお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(鳩山邦夫君) 規制改革推進のための三か年計画の中身が今回変更になりまして、私といたしましては私どもの考え方に近づいてくれてよかったなというふうに思っておりますが、これを言っては本当はいけないのかもしれませんが、そもそも法曹というものは、やはり格別の人格、識見、能力、法律知識を持たれた方々がなられて、司法試験という難関を通ってなってこられているわけでございまして、もちろんその数を増やそうという司法制度改革の中で意見が出てきて、三千人という当面の目標が出てきたことは私は否定はしないんですが、これは規制改革とか規制緩和の問題かなと。正直言ってそこは、要するに、弁護士というか法曹になるのが難しい、これを一種の規制と見てこの門戸を広げることが規制緩和とか規制改革なのかなという、実は根源的な疑問というのは持っていないわけではありません。
 そこで、将来的な法曹人口の在り方は、平成二十二年に向かって状況を見ながら三千人にするということは閣議決定されているわけで、私もこれは認めているわけでございますが、問題は質の問題で、質の高い法曹をどの程度確保することができるかということを考えなければならないと思う。
 それから、法曹に対してどのような需要があるかということも考えなければならない。例えば、企業の法務部門というのが相当日本は充実をしてきておりまして、そういうところが充実すればするほど、実は会社の顧問弁護士はおられるにしても、法曹資格のある方が法務部門を形成しているとは必ずしも限らないという状況もあります。
 それから、これはいつも申し上げることですが、縄文文明以来、和の文明、和をなす文明をつくってきている日本は、何かあれば全部裁判で決着を付けるという、そういう国民性ではない。これは日本の国の最も優れている部分ではないかというふうに考えておりまして、これ、仮に五千人も七千人も、一万という数字を言った人もいると思うんですね、毎年法曹が誕生したら、肩触れ合うだけで裁判かということにもなりかねない。それはちょっと極端な例ですが、私はそういう訴訟社会にしたくないという考えを持っているということを御理解をいただきたい。
 それから、よく法曹人口の話が諸外国との比較が出ますけれども、やっぱり隣接法律専門職種、司法書士さん、行政書士さん、いろいろあられるわけでございまして、土地家屋調査士さんもそうかもしれませんが、そうしたものをどういうふうにカウントするかという点もございましょう。それらを総合的に考慮して考えていきたいと思って省内での猛勉強も続けているところでございまして、そもそも閣議決定の内容も三千人で固定すると言っているわけではありませんので、三千人にいったんなったとして、その後の数をどうするかという重大な問題については、今のうちから取り組んでいかなければいけないと考えております。

○岡田直樹君 ここから少し副大臣にお伺いをしたいと思います。
 今も大臣からお話がありましたとおり、質の確保ということは大前提の条件であると思います。平成二十二年ころに三千人、その前提にはやはりしっかりとした教育、法曹の養成ということも必要である。
 しかしながら、実際に新しい司法試験の採点をした考査委員の方々のヒアリングの結果というのを少し拝見をいたしました。その中に、例えば刑事系の科目の考査委員の方。今回の試験の答案の絶対的な評価としては、出題者としては率直なところ不満が残っている、それは出題の趣旨によく合致した答案は多くはなかったからであると。こういう基本的な評価のほかに、前提となる刑法の基本的な理解ないし知識に問題があるのではないかということである、この点は司法研修所で教育することはほとんど不可能であることから、試験に合格した段階では既に身に付けていてもらわないと困るのだが、残念ながら必ずしも十分とは言えないと、こういうことをいろんな科目にわたって綿々と書かれているわけであります。合格者の質が相当低下をしている、あるいは受験者全般に応用はもとより法律の基礎が分かっていないのではないかと、こういう懸念があるようでございます。
 それから、いわゆる二回試験というものの不合格者数も増加をしている。私は法学部ではありますが法学部政治学科でありまして、法律の成績云々をすることは大変おこがましいわけでありますけれども、受験者あるいは合格者の質に若干の問題があるのではないかということを思います。
 それから、先月発表されましたが、法科大学院の第三者評価で認証基準に不適合とされた法科大学院が五校ございました。名前をはっきり申しますと、一橋とか北海道とか千葉とか、なかなか有名な大学の名前も入っているわけでありますけれども、この不適合とされた五校の基準についても評価が分かれると思うんです。
 確かに、この学校は新しいロースクールの理念形から少し外れるところがあったのかもしれないけれども、伝統的な法学教育という見地では比較的しっかりと基礎教育をしていたのかもしれない。受験偏重と見るか基礎重視と見るかは紙一重というか、見る人によってまた判断も違ってくるところではないかと思っております。まだ日の浅い日本のロースクールでありますから、試行錯誤、そしてなかなか順調にいかない部分もあるんだと思います。
 こうした状況をいろいろと見まして、副大臣、非常に熱心に問題意識を持って取り組んでおられるようでございますから、その御見識、御見解をお伺いしたいということが一つ。
 それから、はっきり言いまして、現状は合格者が新旧合わせて二千百人ぐらいでしょうか、そういうふうに伺っておりますが、平成二十二年といいますと、あと二十、二十一、二十二と、このぐらいで合格者を本当に三千人に、しかも質を落とさずに持っていくことができるんでしょうか、ちょっと若干私は心配になるわけでありますけれども、この辺の見通しというものもお伺いをしたいと存じます。

○副大臣(河井克行君) 先生から大変すばらしい御質問をいただきまして、感謝をしております。
 私の問題意識はすべて鳩山邦夫大臣の問題意識にのっとっておりまして、先ほど大臣がいろいろと御答弁をされましたその意識にのっとり、御指示によりまして、二月の二十日に省内に勉強会、法曹人口の在り方についての勉強会を発足をいたしておりまして、先ほど先生御指摘いただきましたいろんな観点から勉強を積み重ねておりまして、私も法学部の政治学科でありますので、法曹人口のことについて、いろいろと質のことについて本当にとやかく言う資格があるのかなと日ごろからじくじたる思いでありますけれども、大臣から与えられた特命でありますので、しっかり心を鬼にして今勉強をさせていただいております。
 先生御指摘いただきました第三者評価機関のいろんな基準につきましても、これも大臣、会見でおっしゃっていらっしゃいます。第三者評価機関が果たして複数あっていいのかどうか。あるいは、今御指摘いただきました、それはたしかもう法務省のホームページで公開されている情報ですね、いろんな考査委員の先生方の厳しい御意見、そういったことも含めて今勉強を積み重ねております。
 この司法試験の合格者の数につきましては、法曹の質の維持向上、これが法曹人口の拡大の大前提とされているというふうに考えております。
 それで、このことは具体的に二つの文書でも文言として明記されておりまして、一つは、平成十三年六月十二日の司法制度改革審議会の意見書におきまして、「国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上こそが本質的な課題である。」というふうにされております。いま一つは、これよく引用されるんですが、平成十四年三月十九日の閣議決定におきまして、「新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころには司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指す。」と、あくまでもその前段があるんですね。文部科学省の答弁を拝見しておりますと、前段が時々すっぽかされている傾向にあるというふうに思いますけれども。
 もう一つ、先生、言わせていただきますと、この閣議決定におきましては、平成十四年に千二百人程度、平成十六年に千五百人程度に増やすことについて所要の措置を講ずると書いてあるんですね。一方、今先生お尋ねの三千人程度の増加の問題につきましては、状況等を見定めながら三千人程度とすることを目指すということですから、表現が異なっているということについてもしっかり留意をしなきゃいけないというふうに考えております。
 したがいまして、先生の今の御質問に対するお答えになるかどうか分かりませんが、法曹の質の確保が図られないで数だけ三千人に増やすということは私はあり得ないというふうに考えておりますし、質の確保をしながら数の増加を目指すことこそが平成十四年の閣議決定の誠実かつ忠実な遵守だというふうに確信をいたしております。

○岡田直樹君 ただいまの副大臣の御答弁、大臣と一体の御答弁というふうに思います。この点につきましては、もう少し時間のあるときにまた御議論をさせていただきたいと思います。
 今日は文科省にもわざわざおいでいただいたので、法科大学院の現状についてどう見ておられるか、短い時間ですがお伺いをしたいと思います。
 当初は、構想は十五校前後、定員四千人程度と、こういうふうな構想であったようでありますが、現状は七十四校、五千八百人余りと。学校によってはどうしてもばらつきも多いようでありますが、その教育内容や水準についてどのように認識をしておられるか。必ずしもその合格率が所期の水準に達していないと。受験生の人たちは、資金的にもあるいは時間的にも多くのコストを掛けてこの大学院に通っておられるわけでありますが、それは、頑張ればかなりの確率で合格することができると、こういう期待を抱いておられるわけであると思います。
 文科省も結果を出すように努力をしてほしいと思うんですが、この辺りどうでしょうか。

○政府参考人(久保公人君) お答えいたします。
 法科大学院は、新たな法曹養成制度の中核的機関として、様々な能力を身に付けさせるべく平成十六年度に開校して以来、各地域で大変な努力を今されているところでございまして、私ども、財政的支援も含め、いろいろな支援を現在させていただいているところでございます。
 まだ法科大学院におきましては、一昨年に既修者、昨年に未修者の修了生を初めて輩出した現段階でございますので、今後ますます法科大学院の質を高めていく、育てつつ、法科大学院も含めて法曹養成プロセスを、全体の質を検証しながらいい法科大学院をつくっていく必要があると考えておりまして、私どもといたしましては、第三者評価の結果も踏まえながら、より一層の教育の質の充実を図っていくことができるように、今後、中央教育審議会法科大学院特別委員会、ここには法曹三者も入っていただいておりますが、ここにおきまして、入学者選抜、カリキュラム、教育体制、認証評価機関の評価の在り方、それから出口における質の保証も含めて、様々な法科大学院の質の向上、保証に関します具体的施策の検討を進め、いい法科大学院をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。

○岡田直樹君 現状では、文科省におかれてもやはり一段の努力が必要だと思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 もう一つだけ最後に、法学教官あるいは研究者の養成についてどんなふうに文科省お考えであるか、お伺いしたいと思います。
 大学の法学部から修士、博士と上がっていく従来のコースとともに、ロースクールから教官に転ずると、そういう場合もあると思うんですけれども、この関係をどうお考えであるか。大学はどうしてもロースクールを新しい目玉と考えて、そこに重点的に人材を配置するといった傾向もあるんじゃないかと思いますし、またその結果、教官の養成という地道な仕事がなおざりになっておるんではないかというような懸念もございます。
 また、優秀な方が余り研究者や教官になりたがらないという傾向も最近ちょっと耳にするところであります。そして、団塊の世代の方々がリタイアをしますと、ロースクールで教える人も少なくなるんじゃないか、特に地方では決定的に不足をしてくるのではないかと、こういうふうに聞くわけであります。
 良質な法曹を育てるには、やはり処遇なども含めた研究者あるいは教官の養成ということも大事だと思いますので、この点について、最後に文科省の御見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(久保公人君) 現在、各大学で既存の法学研究科、それから法科大学院、両方それぞれ担当している先生が頑張っておられるわけでございますけれども、やはり法科大学院制度の創設に伴いまして、どうしても法学研究科の入学希望者が減少しているという話も伺っております。その点は、先生おっしゃるように、今後の研究者養成としての課題と認識しておりまして、私どもいろいろな手だてを考えていかなければいけないと思っているところでございます。
 元々、この法科大学院制度の導入に当たりまして、法科大学院の修了者が博士課程、大学院に進学しやすいように、その大学院博士課程の修了要件を二年とするなど制度上の配慮も行ってきたところでございますけれども、今後さらに法学研究者に有為な人材が得られますように、中央教育審議会におきまして議論を深めまして、現状把握しながら適切な対応を図っていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○岡田直樹君 終わります。ありがとうございました。

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